創立10周年記念演奏会「ハーモニーの多様性に魅せられて」のチラシが出来るまで


チラシ担当のヒゲタカです。

今回のチラシはいつもよりおとなしい色調で、多少パンチには欠けるかも知れませんが、久しぶりの単独の演奏会にふさわしい、明るいものになったかなと思っていますがご感想はいかがでしょうか? 背景の図柄には、アール・ヌーヴォーを代表するデザイナー、アルフォンス・ミュシャの「ラ・ムジカ」という作品を使わせて頂きました。ミュシャの代表的なスタイルである中心の美女が、何か、かすかに聞こえてくる音楽に耳を澄ませている構図です。原画は多色刷りですが、背景に使うことを考慮して、あえて単色に変換してもらいました。 ところで、「ハーモニーの多様性に魅せられて」というキャッチフレーズについては、いろんなご意見がありました。「漢字が多くて、堅くない?」「意味、あんまり分かんない」「そもそも必要?」‥‥ どうしてこの言葉を選んだのか、この言葉に込めた「思い」について書いて欲しい、というHP管理人からのご依頼がありましたので、このチラシが出来るまでについてお話しさせていただきます。 いつものことですが、チラシ作製はまず、チラシに記載すべき事項についてスタッフ会議の皆さんと慎重に検討して決定、次に使うべき図柄を選び、レイアウト案を作って、須田デザイン事務所の須田くんに送ります。ここまでがチラシ担当の仕事です。須田くんがプロのセンスを発揮してフォントを選び、素敵なカリグラフィを作製し、全体構成を修正して完成させてくれます。校正版が届くと、スタッフ会議の皆さんにも見て頂いて、2、3回の校正を経て校了となります。今回は須田くんが、縦長、横長の2つの案を作ってくれましたので、何人かの団員のご意見も頂いて、オーソドックスな縦長の案を選んだのがこのチラシです。 チラシの原案を作るに当たって一番考えたのは、今回のプログラムをどう捉えるか、でした。今回はこれまでのように、例えば「カルミナ・ブラーナ」、「レクイエム」、「島よ」‥‥といった「目玉」の曲がありません。チルコットの「ジャズ・ミサ」、信長さんの「かなしみはあたらしい」が独立なステージですが、どちらがメーンというわけではないし、第1ステージはさらに、ホルムボーから、オールバン、男声合唱の定番曲、新編曲の八木節まで、百花繚乱、幕の内弁当、あるいは「ごった煮」といった趣です。どうしてこういうプログラムになったのか? 箕輪先生はどう考えてこういう選曲をして下さったのだろうか、考えました。 クライスはそもそも、箕輪先生の「第9」のご指導に感激したメンバーが集まって「ドイツ・レクイエム」を歌おうとスタートした合唱団です。その後も、「メサイア」、フォーレ、チルコットの「レクイエム」と続いて、そういう路線の合唱団なのかなと思っていると、第4回演奏会、大中恩の「島よ」で大きく舵を切りました。単なるイベント合唱団ではない、積み重ねて成長していく合唱団への方向転換でした。箕輪先生はそれから、クライスの持っている魅力を引き出すべく、いろいろな選曲を試して来られたのではないか。そして、クライスはそのひとつひとつの曲に、苦労しながらも、それぞれ異なる魅力を発見し、魅せられて、何でも歌いこなす合唱団に成長してきたのではないか。その成果こそが、この10周年の節目にクライスが、お客さまに聴いていただくべきことなのではないか。それこそこのプログラムに込められた意図なのではないか、と思い当たりました。 プッチーニの「トスカ」のテノールのアリア「妙なる調和」の冒頭の歌詞が浮かんできました。この曲は、「Recondita armonia di bellezze diverse!(様々な美の隠れた調和!)」と始まります。そこから「ハーモニーの多様性」というキーワードを思いつきました。 『ハーモニーの多様性に魅せられて修練してきた10年の成果をお聴きください!』というつもりで、このキーワードを「創立10周年記念演奏会」の前に置いたのが最初の案でした。しかし、『コールクライス』の素敵なカリグラフィが挿入されて、この言葉のつながりが明確でなくなりました。「このキャッチ、必要?」という疑問が提示されたのはこの段階でした。 そこで曲名リストの前に移動してみたところ、『ハーモニーの多様性に魅せられて選んだこのプログラムをお楽しみください!』という意味に読めることに気付きました。それでこれに決めました。 背景に使う図柄も、『ハーモニーの多様性』を表すようなものはないかと、ネットを検索して見つけたものでした。須田くんはさすがプロで、もっと解像度のいい画像データを持っていて、さらに、文字でミュシャの原図がなるべく損なわれないように配置を工夫してくれました。 そんなわけで、けっこう難産のチラシのデザインでしたが、皆さんに気に入っていただけて、演奏会の集客につながってくれれば、こんな嬉しいことはない、と思っています。


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